右心系と成人先天性心疾患の血行動態に関する研究会

研究会概要

「右心系と成人先天性心疾患の血行動態に関する研究会」(英語名”Study Group for Hemodynamics of Right Ventricular and Adult Congenital Heart Diseases” 略称HERVAC)は、今日成熟しつつある循環器疾患の診療エビデンスをもってしても、時として診断や治療方針に難渋する右心系の病態を主体とするフォンタン循環を含む小児および成人先天性心疾患について、一症例ごとの徹底検証を通じ、主に血行動態を解き明かすことで新たな診療エビデンスを構築することを目的とする研究会である。本研究会は3次元計測や血流解析などの近年の循環器画像診断技術の飛躍的な進展を基盤として、これまで左心系に比して評価が難しいとされた右心系疾患により深いアセスメントが期待されている現状を受け、また先天性心疾患手術の歴史的な背景を踏まえ近年急速に再手術例が増多している社会的な背景を踏まえ、病態生理、診断、手術治療に至るまで議論する学際的かつ実践的な研究会として、既存の研究会である血流会の実践臨床の研究会として発足した。

血流会が「循環器画像診断技術に基づき血流動態を解明し循環器診療へ適用することを目的」とし、工学系技術系研究者と臨床医との横断的な交流を持つ場として設立されたのに対し、その出口として、最も有効かつ社会的ニーズの高い右心系疾患並びに成人先天性心疾患に対して症例ベースでの検証を多方面の臨床医により徹底して行うことで、新たな循環器医療の姿を切り拓くことを目的としている。

具体的には以下のようなテーマを扱う

  • 心臓超音波による右心評価、3次元超音波での右心機能評価、超音波血流解析などの有効性や限界に関する検討。
  • 心臓MRIによる右心系機能評価や近年台頭してきた4D flow MRI血流解析などの有効性や限界に関する検討。
  • 三尖弁疾患、右心不全例などにおける心機能評価、手術適応に関する検討。
  • 右心不全がもととなる不整脈疾患の治療指針に関する検討。
  • ファロー四徴症類縁疾患における肺動脈弁逆流・狭窄がもたらす右心機能評価並びに至適再手術適応の決定に関する検討。
  • 成人期エプスタインなどの三尖弁および右心への治療介入に関する検討。
  • 右室主心室例(右室単心室、修正大血管転位など)における遠隔期右心機能評価に関する検討。
  • フォンタン循環における評価並びにフォンタン再手術適応や方針に関する検討。
  • 左右心室間相互作用に関する検討。

本研究会では個々の症例検討を通じ、内科医、外科医、小児循環器医、放射線科医、麻酔科医、産科医、臨床検査技師、放射線技師、生理学研究者、画像診断研究者などの多岐にわたる診療分野の専門家からの多面的な議論および垣根を越えた学術交流を通じ、新たな視野と創造的な学問領域を切り拓き、右心系疾患および成人先天性心疾患の診療と治療に飛躍的な向上をもたらすことを目的とする。